年50冊小説を読まんとする若輩のblog

それ以上でも以下でもなく。

#3「海賊とよばれた男」百田尚樹

読み易さ☆☆☆☆

面白さ☆☆☆

読む価値☆☆☆☆

※独断と偏見による。

 

永遠の0」で一世を風靡した百田尚樹さんの歴史経済小説。昨年映画化されて話題になりました。

永遠の0が第二次大戦中を舞台とし、零戦パイロット、宮部を主人公とした「戦いの英雄」の小説だったのに対して、こちらは戦後の日本を舞台とし、石油販売会社社長、国岡を主人公とした、「復興の英雄」の伝記的小説といえるでしょう。

物語は戦後、石油が完全に底をつき、さらにGHQによって石油の輸入を厳しく制限されていた時代から始まります。石油という売り物が無く、社員に与えられる給料も仕事もなかった国岡商店が、困難に屈することなく成長を続けて石油業界2位のシェアを獲得し、日本の高度経済成長を支えることとなる過程を楽しむ内容となっています。

 

この小説の特筆すべきところは、小説でありながらほぼノンフィクションだというところです。一部固有名詞は変えてありますが、主人公である国岡とは出光氏のことであり、国岡商店とは現在の出光興産(東証一部上場企業)のことです。下巻の巻末には卒業論文よろしく参考文献が並べてあり、事実に依拠して書かれた小説だとみてよいでしょう。

出光興産は海外大手企業の資本を入れていない民族企業であり、社長の意思によって独特の家族経営的な制度をとっていました。具体的には、定年がなく、リストラを行わず、タイムカードも出勤簿も使わないなどです。それらの現代企業としてはありえない制度は、社員への愛と信頼に基づいていました。

 

大手企業や政府の圧力を恐れない、国岡商店独自の経営戦略で成功を収めていく姿は痛快なものです。おそらく、日々会社において不満や苛立ちを抱えて働いている社会人にとってはカタルシスを感じることができる内容でしょう。そういう意味で、年齢を重ねた社会人にオススメしたい小説でした。

 

 

蛇足

正直社会人一年目の、まだまだ社会の酸いも甘いも分からないブログ主にはそれほど面白くなかったです。(スミマセン…)

もっと社会の荒波に揉まれれば、社長が語る美しい理念にも素直に感動できるようになるのでしょうね( ・∇・)

 

ところで昨年公開された映画、ブログ主は未視聴なのですが、なんでも永遠の0に引き続き岡田准一さんが主人公を演じていると聞き驚いています。ちょいと若すぎじゃないかと。

永遠の0の主人公宮部は、確かクライマックスでも30代だったと思うのですが、海賊とよばれた男の国岡社長は物語の冒頭で既に60歳です。映画撮影時の岡田さんが35歳らしいので、実年齢年齢の2倍くらいの役を演じたこととなります。いったいどんな演技をするのか…見てみたくなりますね。

 

今回は以上になります。長文にお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m

 

 

 

 

#2「赤と黒」 スタンダール著 小林正訳

読み易さ☆☆☆☆

面白さ☆☆☆☆

読む価値☆☆☆☆☆

※独断と偏見による。

 

1831年のフランスで発刊された恋愛小説です。

百姓のせがれとして生まれた主人公ジュリヤンが、その人並み外れた野心と才能から貴族社会に入り込み、あまつさえ自分が仕える主人のご令嬢と恋仲になってしまうストーリー。

 

貴族社会を描いた作品、たとえば「ハムレット」などでは主人公もヒロインも貴族であり、優雅な生活を背景に描かれます。そしてそれが日常として扱われているが故に、現代の大衆からすれば遠い世界の物語という印象を受けるでしょう(少なくとも小市民なブログ主にとってはそうでした。)

一方で「赤と黒」の主人公は百姓の青年、いわばよそ者です。彼の目からは貴族社会が新鮮で華やかな世界として描かれており、我々にも共感しやすいものでした。

 

さて、この主人公ジュリヤンは利己主義で、何よりも自己尊厳を優先するような、あまり王道的作品では主人公になれないであろう欠点のある人間です。たとえば彼は自分を救ってくれた恩ある主人に対して、《俺はこの方からの恩義を裏切るつもりか?いや、こいつもいざとなれば俺を切り捨て、処刑台に運んだうえに2週間後には俺を忘れるに違いない!三流階級の俺とこいつとでは住む世界が違うんだ!》(抜粋ではなく意訳)というようなことを平気で考える人間です。そういうところが人間臭くて可愛かったりするのですが。

 

そんな彼の恋愛はご主人の夫人を、「男の誇り」を守るために誘惑するところから始まります。そう、まったく恋心などありはせず、自尊心のためだけに恋を始めるのです。この誇り高さといいますか、笑い者になりたくない一心で馬鹿げた行為でもやってのけてしまう行動力こそが、この小説の一番の面白さではないかと思います。滑稽ですが、憧れちゃいますね。

 

ところでこの小説は1831年当時の世相を取り入れつつ書かれており、ナポレオンの躍進から七月革命直前までのフランスの社会を描いています。あの激動の時代、人々は何を思って生きていたのか?小説としての面白さに加え、当時を知ることができる歴史的史料としても価値ある小説でもあります。その特徴のため、受験のために世界史を勉強している現役高校生にこそ読んで欲しい作品ですね。(毎回これ言ってる気がする)

 

 

蛇足

 

レビュー2作品目です。800ページ超の海外文学ということで敬遠してきた小説でしたが、蓋を開けてみれば個人的に今まで読んだ小説の中でもトップテンに入る名作でした。読み易さ・面白さ・読む価値。自分が小説を評価するうえで特に重視している3要素ですが、それをここまでハイレベルに満たす小説にはなかなか巡り会えないものです。

 

このブログを読んでくださっている方々は、少なからず小説に対して自身の評価軸をお持ちだろうと思われますが、よろしければお聞きしたいものです。自分にももっと良い着眼ができれば良いのですが…

ともかく、現在の私の評価軸からすれば、「赤と黒」は自信を持って人にオススメできる小説

でした。

 

最後に、同小説から特に印象深かった一文を引用させていただいて終わろうかと思います。お読みいただきありがとうございました!またお会いできれば幸いです。

 

 

『おれがおめおめひきずられて、この女にうつつを抜かすようになったら、この目はやがて世にも冷ややかな軽蔑の色しか浮べなくなるのだ』

 

 

 

 

 

 

しれっと下方修正。

『年100冊小説を読む』

計算するとおおよそ3日に1冊ペース。

「なんとかなるっしょ!」と思っていたものの、既に9日、まだ1冊、ただよう企画倒れ感。

…いや、読んではいるんですよ?ただ、今読んでるのが上下巻800ページ超の海外文学でして、まだ上巻しか読めてない状態なんです。

 

この現状を友人に相談したところ、「100冊無理があるでしょ。せめて50冊じゃない?」という悪魔の囁きを受けまして、「それな!」と思ってしまった次第でございます(´ω`)

 

今後は年100冊改め、年50冊小説読む社会人のブログとしてやっていこうと思います。一週一冊。これなら無理なくやれそうです。たぶん、きっと、絶対。

そんなわけで早くも膝を折ってる情けないやつですが、お付き合いいただけると幸いですorz

#1 「六番目の小夜子」恩田陸

読み易さ☆☆☆

面白さ☆☆

読む価値☆☆☆☆

※独断と偏見によります。

 

恩田陸さんのデビュー作であり、一度は絶版となりましたが再評価され、彼女を作家として有名にした作品です。

ストーリーは、ある高校の独特な風習であり、都市伝説である「サヨコ伝説」を軸としています。

ミステリ要素、謎が次々と現れ読者を飽きさせない構成となっています。ただ、ミステリとして読むよりは、あくまでも青春小説として読むことをオススメします。

メインテーマは青春の大切さでしょう。高校最後の年を迎える男女が、友達とのなんでもないような時間を過ごしながら、その幸せを理解していくストーリーとなっていて、現役高校生にこそ読んでほしい作品だと思います。

 

この作品の見所は描写の丁寧さだと思います。風景や人の風貌、高校生のたわいもないやりとりなどが丁寧に描かれています。そのためイメージしやすく、映画のように場面を思い描くことができます。想像力を養うための良い教材ではないでしょうか。

一方でそういった描写を厚くし、自然な日常を描いているために、物語としての面白さはそれほどでもないと感じました。とはいえ、比喩に富んだ文章は読み応えがあり、読み飽きることはない作品でした。

 

ところでこの作品、単行本の解説を綾辻行人さんが担当したらしいです。綾辻さんといえば現代を代表する推理小説家ですが、彼は自伝風の小説「どんどん橋、落ちた」において、『自分は人間が書けない』と自嘲気味に述べていました。

犯人当ての推理小説を作る以上あまり登場人物の内面を書くわけにもいかないのでしょうが、確かに綾辻さんの小説の登場人物はどこかわざとらしく、「装置」という印象がありました。そんな綾辻さんだからこそ、自然な人間を描いたこの作品に思うところがあったのではないでしょうか。

私は文庫版で読んだので綾辻さんの解説は未読ですが、機会があれば読んでみたいと思います。

 

もっと書きたいこともありますが、以上で感想を終わりにしたいと思います。拙文をご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

 

蛇足

いやぁ、感想を書くって難しい!正直もっと簡単だと思ってました…( ̄▽ ̄;)

記念すべき第1回目ということもあり、ですます調の畏まった文章にしましたが、ちょっと固すぎでしょうかね?読書感想文でもあるまいし、次からはもっとゆる〜く書こうかと思います。

ちなみに下書きでは書いていて本文では省略した部分は、専らネガティブな感想を述べた部分です。たとえば、【同著者の小説「夜のピクニック」と設定似すぎじゃないか?】といった内容です。

そういった否定的な感想は、極力書かないようにするつもりです。このブログを読んだ人が作品を読みたくなる、そんなブログを目指していきます。

それではまたの機会に。

 

<a href="https://hb.afl.rakuten.co.jp/hgc/1691eff9.d28bc5fc.1691effa.aa817647/?pc=https%3A%2F%2Fitem.rakuten.co.jp%2Fbook%2F1311591%2F&m=http%3A%2F%2Fm.rakuten.co.jp%2Fbook%2Fi%2F10948812%2F&link_type=text&ut=eyJwYWdlIjoiaXRlbSIsInR5cGUiOiJ0ZXh0Iiwic2l6ZSI6IjgweDgwIiwibmFtIjoxLCJuYW1wIjoiZG93biIsImNvbSI6MSwiY29tcCI6ImRvd24iLCJwcmljZSI6MCwiYm9yIjoxLCJjb2wiOjB9" target="_blank" rel="nofollow" style="word-wrap:break-word;" >六番目の小夜子新潮文庫) [ 恩田陸 ]</a>

概要、もとい決意表明

あけましておめでとうございます。新社会人の「ばね」と申します。

さて、『一年の計は元旦にあり』といいますが、皆様はこれがどのような意味のフレーズかご存知でしょうか?

goole先生によると、

“一年の計画は年の初めである元旦に立てるべきであり、物事を始めるにあたっては、最初にきちんとした計画を立てるのが大切だということ。”

という意味らしいです。

新しいことを始める季節といえば春というイメージがありますが、年末年始も良い区切りかも知れませんね。

というわけで不肖私、ばねも何かを始めてみようと思案しまして、辿り着いたのがこちら、「年100冊小説を読まんとする新社会人のblog」になります。

 

なお、タイトルだけ見るといかにも小説に詳しい人のように思われるかも知れません。が、筆者は本の虫というわけではなく、気が向いたら読む程度の人間です。あらかじめご了承ください。

マグネシウムの話2

 前回はカルシウムとマグネシウムのバランスを2:1ぐらいにしなければならない理由を紹介しました。今回はこのバランスを意識的に保つためには、何を食べるのが良いかを紹介したいと思います。

 マグネシウムを多く含むのは豆類や海藻、アーモンドやゴマといった種実類の他、各種お茶などが挙げられます。ただし、海藻と種実類はカルシウムも相応に含むため、バランスを意識したいなら選択肢は豆類やお茶に限られます。普段どちらも取ってないよ!何てことが起こりうるのではないでしょうか?

 それに対して、カルシウムは乳製品は勿論のこと、魚介類や野菜にも豊富に含まれており、あまり意識せずとも、健康に多少でも気を配る人なら当然取っている食品だと思います。

 とはいえ、カルシウムは不足すると骨粗鬆症の原因となり、とりわけ高齢の方や女性にはそのリスクが高いと言われており、十分な量の摂取を勧めたいところではあります。だからこそ、マグネシウムも十分に摂取することでバランスをとる必要があるのです。

 最後に、手軽に取れてマグネシウムが豊富なおすすめの食品を紹介します。それは、インスタントコーヒーです。あるデータによると100gあたり410mgのマグネシウムが含まれており納豆の4倍以上の含有量があります。まぁ、コーヒーの飲み過ぎもどうかと思いますが、、、


補足

マグネシウムはストレスによって体外に排出されやすくなる

・アルコールで尿量が増えると、それだけマグネシウムも排出されてしまう

・運動で骨に負荷をかけることで、骨はマグネシウムやカルシウムを吸収しやすくなる。これにより流出してしまった両者を取り戻すことが可能

マグネシウムの話

 私は牛乳が大好きで、1日に2L消費することもザラなのですが、これはマグネシウムの欠乏を促し、逆に骨を弱める悪習のようです。

  「カルシウムとマグネシウムは2:1の割合が適当で、前者を過剰摂取すると健康被害を招く」という知識を紹介させて頂きます。 

 血液中のイオン受け渡しには両者のこれぐらいのバランスが必要であり、血液中でマグネシウムが不足、またはカルシウム過剰になると、骨からマグネシウムが溶け出していきます。この時同時にカルシウムも溶け出してしまうため、骨が弱まるのは勿論のこと、余分なカルシウムが結石となったり、心筋梗塞の原因となる恐れもあります。

 私のような牛乳中毒者には恐ろしい話です。しかし、そうでない皆様にとっても、マグネシウムを意識的に取らなければやはり健康への脅威と言えるでしょう。

 ところで皆様はマグネシウムが何から摂取できるのか知っていますか?殆どの人は知らないと思います。次回はそういった食品の紹介と補足をしたいと思います。