年50冊小説を読まんとする若輩のblog

それ以上でも以下でもなく。

#1 「六番目の小夜子」恩田陸

読み易さ☆☆☆

面白さ☆☆

読む価値☆☆☆☆

※独断と偏見によります。

 

恩田陸さんのデビュー作であり、一度は絶版となりましたが再評価され、彼女を作家として有名にした作品です。

ストーリーは、ある高校の独特な風習であり、都市伝説である「サヨコ伝説」を軸としています。

ミステリ要素、謎が次々と現れ読者を飽きさせない構成となっています。ただ、ミステリとして読むよりは、あくまでも青春小説として読むことをオススメします。

メインテーマは青春の大切さでしょう。高校最後の年を迎える男女が、友達とのなんでもないような時間を過ごしながら、その幸せを理解していくストーリーとなっていて、現役高校生にこそ読んでほしい作品だと思います。

 

この作品の見所は描写の丁寧さだと思います。風景や人の風貌、高校生のたわいもないやりとりなどが丁寧に描かれています。そのためイメージしやすく、映画のように場面を思い描くことができます。想像力を養うための良い教材ではないでしょうか。

一方でそういった描写を厚くし、自然な日常を描いているために、物語としての面白さはそれほどでもないと感じました。とはいえ、比喩に富んだ文章は読み応えがあり、読み飽きることはない作品でした。

 

ところでこの作品、単行本の解説を綾辻行人さんが担当したらしいです。綾辻さんといえば現代を代表する推理小説家ですが、彼は自伝風の小説「どんどん橋、落ちた」において、『自分は人間が書けない』と自嘲気味に述べていました。

犯人当ての推理小説を作る以上あまり登場人物の内面を書くわけにもいかないのでしょうが、確かに綾辻さんの小説の登場人物はどこかわざとらしく、「装置」という印象がありました。そんな綾辻さんだからこそ、自然な人間を描いたこの作品に思うところがあったのではないでしょうか。

私は文庫版で読んだので綾辻さんの解説は未読ですが、機会があれば読んでみたいと思います。

 

もっと書きたいこともありますが、以上で感想を終わりにしたいと思います。拙文をご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

 

蛇足

いやぁ、感想を書くって難しい!正直もっと簡単だと思ってました…( ̄▽ ̄;)

記念すべき第1回目ということもあり、ですます調の畏まった文章にしましたが、ちょっと固すぎでしょうかね?読書感想文でもあるまいし、次からはもっとゆる〜く書こうかと思います。

ちなみに下書きでは書いていて本文では省略した部分は、専らネガティブな感想を述べた部分です。たとえば、【同著者の小説「夜のピクニック」と設定似すぎじゃないか?】といった内容です。

そういった否定的な感想は、極力書かないようにするつもりです。このブログを読んだ人が作品を読みたくなる、そんなブログを目指していきます。

それではまたの機会に。

 

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