#14「宝島」スティーヴンスン 村上博基訳
読み易さ☆☆☆☆☆
面白さ☆☆☆☆
読む価値☆☆☆
「ジキル博士とハイド氏」で有名な英作家、スティーヴンスンの冒険小説。港町の少年が海賊の地図をみつけ、宝探しの船旅に出るというシンプルなストーリー。
古くから児童文学として親しまれていますが、大人が読んでも楽しめる作品として知られており、そういう意味で「ガリバー旅行記」と近い立ち位置の作品です。 海賊とかけひきし、ときに戦いとなりながら宝を探す展開であり、面白さの種類としては「パイレーツ・オブ・カリビアン」に近いでしょう。
難しい話は出てこず、物語としての面白さが豊富なため、子供は勿論、誰にでもオススメできる小説だといえるでしょう。
蛇足
印象深かったのは主人公のジム少年が、周りの大人達から一人の男として扱われていることでした。海賊の親玉であるシルヴァーからは気に入られ、互いの命を保証し合う取り引きを持ちかけられます。また、海賊に捉えられた際には仲間のリヴジーさんから、自分の単独行動の結果なのだから自分で責任を取るようにと突き放されます。どちらも、少年を保護すべき弱者ではなく、対等な相手とみなすからこその行動でしょう。
ところでスティーヴンスンは時の英首相、グラッドストンから、
「君の作品は素晴らしかった。一気に読んで、気づけば2時になっていたよ」
と賛辞を送られた際に、
「そんなことしてないで国政に力を向けて欲しく思います」
と答えたというエピソードが残っています。傾いてますね。
以上で終わりにいたします。お読みいただきありがとうございましたm(__)m