#13「クリスマス・カロル」ディケンズ 村岡花子訳
読み易さ☆☆☆☆
面白さ☆☆
読む価値☆☆☆
イギリスの国民作家、チャールズ·ディケンズの短編。クリスマスの夜に起こる奇跡の物語。
残酷な取り立てを行う町金融であり、極端な拝金主義者であるスクルージ老人が主人公。誰からも恐れられ、嫌われている彼は自らも人を愛することをせず、クリスマスなど浪費の肯定、馬鹿の所業だと憎んでいた。
そんな彼のもとに3人の幽霊が訪れる。1人目は過去を見せる力を持つ幽霊。スクルージの少年時代、貧しくても愛する女性がいた頃の幻を見せられる。老いた彼は、遠く忘れていた愛する気持ちや、喜ぶ心を思い出す。
2人目は未来を見せる幽霊。スクルージは自分の死んだ直後の町を彷徨い、誰も自分の死を悲しんでいないこと。むしろ取り立てが無くなったと大喜びしている人々の様子を見せられる。
3人目は現在を見せる幽霊。クリスマスで色めき立つ町の人々を知る。そしてもはやスクルージは以前の堅物ではなく、クリスマスを心から楽しむ人間に変わっていたのだった。
こうしてストーリーだけを説明してしまうと、いかにもご都合主義な、キリスト教的訓戒話のように感じてしまいます。しかし、ディケンズの魅力はそういったところではありません。
型にはまったような筋においても活き活きとしている登場人物達。すなわち人物描写の巧みさが評価されています。その人間理解はシェイクスピアにも引けを取らないと言われています。
古典らしい古典を読みたいが、あまり長編を読む気は起こらない、そんな方にオススメな小説といえるでしょう。
蛇足
ブログの更新が完全に不定期になってしまっていることをお詫びいたします(-_-;) 気分のムラなく更新していければよいのですが、自分に甘くお恥ずかしいです。
ディケンズの作風は劇に近く、分かりやすい筋と魅力的なキャラクターが躍動します。そのためか舞台や映画でリメイクされることが多く、作品の知名度に繋がっているのでしょう。情景を想像しながら読むとより深く味わえそうです。
それではここらで締めようかと思います。週1更新は保証できないので、思い出したときにまた来ていただけると幸いです。